林:
でもやっぱりクリエイターである以上、音楽を作るという意味でも映像は切っても切り離せないものだと思うし。
佐野:
もちろん。
林:
詞を作ってる時も曲を作ってる時も、イメージがワァーッと拡がったりしますよね、映像の。
そういうものを塗ってみたいっていう気持ちになりますよね?
佐野:
欧米の何人かのソングライターの曲を聴くと、この人はミュージシャンじゃなくて映画監督になっていたら、もっと良かったのに、もっと成功したのに。成功にもいろんな尺度があるけどね。
もっともっと良かったんじゃないかな、という人がたくさんいる。
ひとつの楽曲を聴いていると、僕なりの映画が組み立てられるような、そういう言ってみれば歌の詞というよりも映画のスクリプターがやってるような、そういう詞を書く人が多い。
素晴らしいなって思う。
その一行一行をちょっと応用すれば、もう立派な脚本になるような曲はたくさんあるよね。
僕も自分で曲を書く時は、そんな風に誰かが脚本化しようと思ったら、ひとつのストーリーが出来るような、そういう物語りをいつも紡ぎたいと思ってる。
だから、これまでの曲の何曲かは成功したものもあれば、ひとりよがりで終わってしまったものもあるけどね。
この先、未来の脚本家・スクリプターが、僕の曲をどこかで発見してくれて、皆が感動するひとつの素晴らしい映画を作ってくれたらいいなって夢見るよ。
林:
それが、先程の話に戻っちゃうんですけど、佐野さんの思っているひとつのイメージの映像がバッチリ出来ればそれはオーケーだと思うんですけど、それがやっぱり、いろんなリスナーのそれぞれのイメージがあって、それと違うものになっちゃったらどうしようとかいう、
佐野:
ドキュメンタリーは、だから難しい。でもファンタジーはオーケーだよ。
林:
どんな形でもいい。
佐野:
どんな形でもファンタジーはオーケー。
次回へつづく
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