長田 進 インタビュー(1/2)
長田進氏とは、ハートランド時代に初めて会いました。
とてもカッコいいギタリストだなと思っていましたが、一見取っ付きにくそうに見えるんだけど実はとても笑顔が可愛いチャーミングなナイスガイでした。
あの横浜スタジアムでのハートランド解散以降、しばらくお会いしていなかったんですがインタビュー中にも出てくる仙台の荒吐のイベントで久しぶりに再会して、そして今回の「月と専制君主」のレコーディングと今回のツアーで多くの時間を共にしました。
そんな長田氏とのインタビューは、佐野さんのツアーファイナルの国際フォーラムに早く入ってもらってのひと時です。
ステージでの長田氏とはひと味もふた味も違った魅力が満載のインタビューになったと思います。
ワタル(以下、W)佐野さんとの最初の出会いは?
長田(以下、O.)最初の出会いですね。最初の出会いはねえ、あの、オーディションがあって、佐野くんが、それまで伊藤銀次さん、タケ。タケが抜けて、丁度ギターの人がいないということで、オーディションがあって、オーディションがあるよって知り合いから電話がかかってきて。じゃあ、仕事も無いしオーディション受けてみようかなと思って。そこで初めて。
W: それまでに佐野元春って知ってた?
O: 知ってたよ。でも知ってたっていうほどあの‥知らなかったというか(笑)。ちょっと友達に聞かせてもらったりなんか。その本当に一週間くらい前に友達の部屋に遊びに行って、「日本にもこういう人がいるんだけど、俺大好きなんだけど」って聞かされたのが佐野くんで、へえ、こんな人いるんだって思ったところに丁度電話がかかってきたんで。
W: へえ、それまで長(おさ)やんってどういうところで活動してたの?
O: 割とセッションギタリストで、ライブが多かった、ライブハウスとか多かったし、セッションのギタリストだったかな。
W: その時何歳?
O: 28とか、結構いい歳でしたよ。うん。
W: じゃあもうそれなにの長やんのキャリアがあったんだ。
O: いやあ、下手だったね。ははは。キャリアはまああったけど。まあ、割と、それまでまあ、バンドというよりは本当セッション、ジャズのバンドとか入ってたりなんかしたし、本当ライブハウスのセッションで食ってたっていうか、そういう感じだったかなあ。
W: もともとギターを弾きだしたのは音楽的なルーツがあるわけでしょう?
O: 俺がギターを弾き始めたのは、家にギターがあったからっていう(笑)理由で、
W: エレキギター?
O: ううん、親父が持ってたんだけど、まあ持ってたっていうだけで弾きやあしなかったね親父。でも割りとうちの親父の世代っていうとさあ、ラテン音楽とかなんか流行ったみたいでさあ、でなんか、家にあったんだよね、ベニア板でできたみたいなぼろいギターが。で、小学校4年ぐらいで触ってみて段々おもしろくなってきて。お、ギター弾くのおもしろいなあと思って。
W: へえ、その頃から?
O: そう、それでギター一生懸命弾いてたら、中学になって友達と知り合ったら、ちょっとこれ聞いてみる?ってレコード一杯紹介してくれて。うちにステレオ無かったからさあ。それ聞かしてもらったのがビートルズでさあ。何?こんなカッコいいのがあるっていうんで、それでロックミュージックを知るわけですよ。
W: ああ、じゃあ言ってみれば長やんの音楽のルーツってビートルズ?
O: ビートルズなのか親父が聞いてたラテンなのか、よくわかんないけど。まあでもビートルズかなあ。
W: ロックに目覚めたのは?
O: そうだねビートルズだね。それは間違いないと思う。
W: ちなみに何のアルバム?
O: 最初に聞いたのは「LET IT BE」だよ。もう本当に解散する時ぐらいだからね。丁度中学になってるっていう。
W: それでさかのぼってビートルズのアルバム聞いて?
O: うん、でもまあ、もっと言ってみれば、日曜の朝に聞いてたラジオから流れてくる割とポップスみたいなものも小学校の時に聞いてたし、小学校、中学校と。そういうもんだったような気がする。
W: へえ、まあどっちにしろ洋楽だよね?
O: もちろんそのへんに流行ったフォークとかさ。
W: 今やってる浜田省吾さんとか?
O: 浜省さんは失礼ながら聞いてなかったけど。陽水さんとかさあ。
W: でもさあ、拓郎さんのバックでやってたじゃない?
O: そうだね、そうだね。そういわれてみれば。だから拓郎さんなんかも聞いたし。
W: へえ、じゃあそれでやっぱり自分でバンドなんか組んだの?
O: そう、中学の時にね。ビートルズのコピーやったりとか。そのうちオリジナルも作ろうぜなんつって適当な曲作ってやってたけど。
W: もうその頃からずっとギターばっかり?
O: もうギター。
W: 他に全然やりたいと思わなかった?
O: うん、ギター。とにかくギターが学校で俺一番上手かったんで。ほらいないじゃん?俺川崎なんだけどさあ。あんまりいないわけですよそういうギター弾けるみたいな奴(笑)。
W: へえ、そう。それで中学、そして当然高校も‥
O: そうね、俺高校、野球部だったから。
W: そうだったね、野球やってるって言ってたねえ。これもカッコいいよね。選手だったの?
O: 選手だね。
W: どこ守ってたの?
O: 俺ピッチャー。
W: えっ?ピッチャーなんだ?
O: うん。
W: じゃあピッチャーで4番てやつ?
O: いや4番じゃなかったけど、まあピッチャーでしたよ。
W: じゃあ甲子園目指してたの?
O: 目指してた、無理でしょうって思ってたけど、ははは。
W: でもそれと同時にギター弾いてたわけでしょう?
O: 弾いてたね。
W: バンドはじゃあやってなかった?
O: バンドもやってたよ。坊主頭で。ははは。
W: へえ、面白い。それでまあギターで飯食って行こうかなみたいな感じになったわけ?卒業して。
O: 高校までまあバンドやったり、野球やりながらバンドやったりとかもして。そうだね、あの、高校出る時って大体みんなほら自分の進路決めるわけじゃない、大学に行くか専門学校行こうかなとかさ。で俺何にしようかなと思って、コックにでもなろうかなとか色々考えて(笑)。あんまり無かったからさ、いやいや新聞記者いいよやっぱり(笑)新聞記者になってやっぱ世の中の悪を追求して(笑)、うーん、とか思ってたけど、真剣に考えた時に、やっぱ俺ギタリストになろうと思って。
うん。もう決めたと思って(笑)それでも全然コネとかって無い訳よ。バンドに入ってるとかも無いし。コネとかももちろん無いし。知り合いがいるわけでも無いし。ただもう直感で。なんかたまたまその高校最後の文化祭でバンドが大受けして、気持ち良かったんだよね。もうこれでしょうと思って、ははは。
W: へえ、凄い、それでもう決めたとかって、セッションとかライブハウスのバンドとか渡り歩いたって感じ?
O: あのう、本当にもう知り合いとかコネとかも全然無かったから、ギタリストになるったってよう、どうすりゃいんだよってさあ(笑)。まあ、ギター好きだけど、音楽も好きだし、友達もそういうやつがもう一人いて、お前もやるなら俺もやるよつって、でとりあえずだからまあ、親父とかに話すわけじゃん。
とんでもないと(笑)。ふざけんじゃないと、何をお前考えてんだとなるわけでしょう(笑)。もう殴り合いのけんかですよ。(笑)いや俺は出来るとか何とか言いながら、ははは。それで家出るわけじゃん、そうすっとやっぱ俺は家を出るなんちゃってさ、はははは。
W: カッコいいね、それがロックだよね。
O: いやカッコいいかどうかわかんないけども、親父に毎日殴られるのもいやだったからだけなんだけど、ははは。
次ページへ