対談後記

チャボさんとこのインタビューをさせてもらってから次にお会いしたのが7月1日の札幌でブームの宮沢さんとのポエトリーリーディングでのこと。
僕はいつものようにカメラを構えてチャボさんの会場入りを狙う。
チャボさんはいつものように車から降りてくる。
何度目だろう、この光景を撮影するのは。
特に車から降りてくるときに何が起きるというわけでもないのにいつもいつもカメラを構えている。
そしてチャボさんもいつもいつも同じシーンを撮られているのにイヤな顔一つしないで僕を迎えてくれる。

僕が迎えているはずなのに、いつもチャボさんに笑顔で迎えられる。

ドキュメンタリー撮影っていつ何が起こるかわからないので時間を切り撮るという作業に終始する。
当然、いつも見慣れたシーンを見るのも、カメラを構えるのも億劫な時もある。
だけど、チャボさんのこのシーンを撮るのはいやだと思ったことは一度も無い。
それは多分、カメラを通しての“久しぶり”の挨拶になっているからだろう。
そしてあのチャボさんの笑顔を見たいからだろう。

チャボさんのあの素敵な笑顔には“優しさ”が詰まっている。

「STAGE FRIGHT」の軽井沢でのインタビューシーンのラストは、
「チャボさんの一番大事なものは?」という僕の質問に
「・・・・」
で終わっている。

そしてあえてビデオではラストシーンはカットした。
僕も確実に真意を伝える自信がなかったから。

僕は言葉の難しさを痛感した。
と同時に、演出力の未熟さを感じた。
でも、僕はその言葉を説明するよりも、チャボさんのあの素敵な笑顔を確実に撮るということを選んだ。
なぜなら、全てを語るよりも、“語らない真実”もあると思ったから。

でも未だに僕の未熟さなのかもしれないとも思っている。

チャボさんこれからもこんな僕ですが、よろしくお願いします。
ありがとうございました。

 

                       林ワタル



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