前半から引き続きいよいよ後半へ

 

林:僕は今、映像の人間なんですけど、映像ではないところの表現の仕方にすごく興味があって、例えば言葉で人の心を動かせるか、というような事にチャレンジしようと思うんですけど。
そういったことは佐野さんの中にもあるんじゃないかなと思って。

佐野:そもそもソングライティングというのは、音楽がベースで、言葉付きの音楽って言ったらいいのかな?
やっぱり自分が表現したい物事があるから、それを音楽化するという。
だから昔から言葉に興味がある。
でも、どうして僕が曲を書き始めたか、詞を書き始めたか、お話すればね、僕は口下手だったんだ。
小さい頃から。
すごくストレートに何でも見たままズパッと言っちゃう。
だけど、それで痛い目を被った時もあるよ。
もっと遠回しに表現したら事態は悪化しなかったっていうようなね。
僕がしゃべるとその場が余計混乱したりとか、そんなことがよくある。
要するに言葉でもって自分を表現するということについて、怖れを持っているわけだ昔から。
だから僕はメロディとかリズムとか自分の声とか、そうした物の助けを借りて、どうにか相手に自分の思いを伝えようとがんばっている。
もし僕がメロディの力もリズムの力も僕の声の力も借りずに、相手にズバッと言いたい事を伝えられるんだったら、もっと別の職業を選択していたと思うよ。
あの夜中にやってる報道番組の政治家の先生達見てみな、口からでまかせで、聞いてると本当に「おー、うまいことしゃべるなぁ」って思うよ。
でも、どっからどこまで真実かわからないけどね。
弁護士とか、本当にお母さんの、口から先に生まれてきたんじゃないかって思うよ、政治家、弁護士そうでしょ?
僕は違う、僕はたぶんお尻から生まれてきたんだ。

林:(笑)意外ですね、佐野さんが口下手だったなんて。
確かにクリエイターっていうのは、僕らのまわりでも、カメラマンにしても何にしても、やはりしゃべるのが、うまくなく、自分の気持ちを表現出来ないから、何かの形を借りて表現してるというところが、パワーになってるだと思ったんですけど。
佐野さんもそうだった、、

佐野:うーん。なんか言葉が先にあるんじゃないような気がして、僕は。
イメージが先にあるのかと思う。
だからその点においては、映像の分野の方達と一緒なのかなとも思う。
最初にあるイメージがあって、それを音楽化する。
その中に言葉もひとつの大事な要素としてあるという、そういう格好だからね。

林:曲が先に出来るんですか?詞が先に出来るんですか?っていうたぶんよくある質問だと思うんですけど、佐野さんの場合、曲が出来る時に、イメージがあるわけですね。

佐野:その通りだね。最初にイメージがある。最終のイメージがもう僕の目の前に現れる。

林:最終の。

佐野:最終のイメージが。
だから聴き手がどんな風な気持ちで、ロマンティックな気持ちなのか、何かもっとイラついた気持ちなのか、どんな気持ちで聴いてくれるのかという、その曲が最終的に向かい合っているイメージが最初に浮かぶ。
それこそが僕の言ってみれば灯台の光なの。
レコーディングをしていくにあたってね、手探りで前進するしかない訳で。
でもそれが灯台の光として向こう側に光っていれば、そこを目指して進める。
僕は曲も書き、詞も書き、全体をまとめて、、、全部をやってる。
だからそういう灯台の光がどうしても必要になってくる。

林:その最初のイメージっていうのは、具体的にいうと例えば映像なんですか?
何なんですか?言葉ですか?一言で云うと。

佐野:う〜ん、映像であったりとか、、、
ある一言っていってもその一言に既に映像がついている訳だから、映像って言っていいのかな。

 


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